2017-07-11

NEOTAO〔4〕「TAOバランス」

──それぞれの活動での展開はありますか?

T:   展開は…5年後に死ぬと思って最近やってて。残された時間は短いと思って。

ー何で5年後?

T:   や、全くわからないですけど(手相の)生命線も短いし。ああすれば良かったって最近この年齢になって思うこともあるんで、精一杯やってても全然やわって悔しいこともあるし。でもずっとジュエリーでやっていきたいていうのはなくって、あのーチャパティ焼く窯ってあるじゃないですか。あれ、好きであの窯が手に入ったらチャパティ屋やろかな、とか…。ジュエリー絶対一生やってく!みたいなのはなくて。

──えとー、すみません。チャパティの?何が好きって?(笑)

T:   あの窯にこう…長年の感覚でペタペタ貼りつけていくあの感じが好きなんですよ。

──それをやったことは…

T:   ないんですねぇ。

N:   でもなんか、そういうストックあるよな。

──なに?ストック?

N:   そういうやりたいことのストック、なぁ?

T:   そうそう、左官屋のあのペターってするやつとか。

──あれ?チャパティと似てる…

T:   その作業見るのが好きで、ケーキの生クリーム塗るとことか。でもそれはケーキ屋さんでバイトしてた時に仕上げだけやらせてもらって夢は叶ったんです。なんかそういう「萌えー」っていうのがあって、なんかこうペタッ、ブワーンみたいな。

──クレープ…

T:   クレープね、結構興味ありますね。

──じゃあ長生きしないと。

T:   そうですよねぇ。

──やりたいこと=職業とかじゃないのかな。

T:   そこもね、いろいろ考えます。何がベストかっていうのがわからなくて自分で…

──ねぇ…わかったら嬉しいよねぇ(笑)

T:   自分のやっていることで生活を賄っていくのが幸せなのか、でもそうなるといろいろ我慢しないといけないこともあるし、妥協点を見つけないといけなくなるんで、それってもともとのやりたい気持ちに対して嘘ついてるんちゃうかっていう恐怖があって、商売としてやるか自分のやりたいことを突き詰めるのかとかのバランスがちょっとわからないですね。

──その辺りのことをネオタオではポーンと抜けられると。

T:   そうですね。

──そうやって2人にとってポーンと抜けられるものであるなら、ますますネオタオはどうやっていくかとか決めちゃあかんよね。

T/N:   あー、うんうん。

ー舞ちゃんは?活動だけじゃなくても生活とかでも展望ってありますか?

N:   ないと思います …………………… あったかな?……………………ないですねぇ。(笑)桃ちゃんのチャパティみたいなことやったら2人でよく話するのは、一回全力で演技してみたい。

──演技?芝居ってこと?

N:   そういうことばっかり言ってるんですけど。

──それは、その、どういう…

T:   女優です(笑)

──はぁー(笑)。でもできるんじゃない?

T:   でも一回きりでいいんです。それが完成形じゃないから。やってみたいなーの1つです。生クリーム塗ってみたいのんと一緒で。そんな将来的にとかは…

──いや、そんな将来的にとかじゃなくても、やってみたいなーとかネオタオ以外での展望とか…あれ?なに聞きたいんかわからんようになってきた(笑)。えっと、桃ちゃんはネオタオを自分のやってるジュエリーの仕事とのバランスみたいに思ってるみたいだけど、舞ちゃんはそんなに差がないような感じ。日々の生活もネオタオも自分の活動も。

N:   いや、そんなことないです。

T:   気の抜き方は違うんですけど根源的なところ、最初に言ってた抽象的なことをどうにか伝えたいっていうことはネオタオもタオシャンウーも同じです。タオ…はもう肩にめっちゃ力入れすぎで、でもすごいやりたいことで全部1人でやりたい。でもネオタオも気を抜いてできるけど根っこは一緒って感じかな。気取らないというか。ファッションの勉強したけど、ファッションじゃなくてアクセサリーであっても何かそこに戦いがあって、いっつも。ファッションじゃないんだぜっ、でも身につけられるんだぜって。アンチファッションていうか。好きなんやけど、こういうとこ嫌いみたいな。見せかけだけの世界に惹かれた自分はいるんやけど、そこの汚さにも気づいてしまって。でもアクセサリーとか服って作ってる人の世界観に惹かれてっていうのがあると思うし、その世界観自体を作ることは好きなんですけどそこでバランスとるのが…

──いろんなところでバランスでてきますね。

T:   なんなんでしょ、バランスとりなんかな、私…

──バランスとり!(笑)

T:   なんかどっちつかずっていうか…

──美しさも汚さも知ってしまった上で桃ちゃん自身がファッションやアクセサリーとどう関わっていくかっていう自分の中のバランスのことやんね?

T:   それは見せ方だったりして、その完璧さは求めたいけどもう一方で「何カッコつけてんねん」ていう自分もいて。タオ…の展示会とか来てくれた人とかも、私自身が関西のほら、こんななんで(笑)やってることとイメージが全然違うと思うんです。そういうカッコつけしてるんです。したくてしてるんやけど、そうじゃない部分も知って欲しくて。だから展示会の時とかは全然こんな感じで喋ってるんですけど。

──バランスとるためのバランスのためのバランスみたいになって…。でもそれがきっと絶妙なんやね。それが桃ちゃんの完璧さ を維持する方法なのかな。

T:   「何おまえそんな肩ひじはってんねん」という自分もいるんですけど。めっちゃお笑いも好きなんです。

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〔5〕最終回「NEO不思議」に続きます。

NEOTAO〔3〕「タイとZINE」

──緒にどこかいったりしても、いいなとか面白いなと思うものは違うの?

N:   似てるとこもあるけどちょっとづつ違うかなぁ。

T:   バランスっていうか、性格も私がすごい忘れっぽいんで、しんちゃんがそこをカバーしてくれてたり。似てないからいけるんかなと思ったりもします。

──ネオタオで展覧会する時はどういうタイミングで決めるんですか?

T:   声をかけてくださって、というのもあるし、caloでのタイは続編でそろそろやろかーみたいな感じで。他はなにがキッカケかな…

N:   またタイ行きたいなぁ、とか。

T:   そうやんな。で、行って帰ってきてタイで買ったもの使ってなんかやろかーとか。

──2人ともタイが好きよね。向こうでは一緒に行動しますか?

N:   見たいものとかちょっとづつ違うから付いていくとこもあるし、別行動の時もあります。

──桃ちゃんはどんなとこに行くの?

T:   土日に開催される大きなマーケットがあって、そこは必ず行きます。

N:   それも直前に「もう一回行くわ!」とか

T:   そうそうそう(笑)

N:   「じゃぁ、私マッサージ行くわ」とか。選ぶもんもご飯も違うなぁ。

T:   ほんまやな。中華街とか行っても全然テイストの違うものえらんでるよな。そこがなんかいいのかもしれないです。

N:   「そんなんいつ買っとったん!」とかあるもんな。

──私もタイに行ったけど、ネオタオが選んでくるようなものは全然見つけられなかったです。だから2人が選ぶものはそれぞれ違うといっても、見つける…なんというか、見つけ方っていうかそういうのって何なのかなと思います。タイで売ってるお土産なのにネオタオになってるというか…

T:   そういうのってネオタオを知らない人もそう感じるのかなぁ。

──そうよねぇ。ネオタオって何なんやろ?と思って惹きつけられるのかな。そういう魅力はどんなとこからくるのかな。

T:   (売らないといけないというような)気負いがないっていうか。本を作り始めた時は旅行に行った先とかで本屋に行って「見てください」とかしたこともあるんですが…

N:   その時は(本を)もうめっちゃいっぱい作ってんな。だからこれはちょっとどこかに置いてもらわな…ってなって。

T:   1回目作ったときはちゃんと印刷出してエラい部数作ったんですけど、私たちそんな営業気質じゃないから「うわ、めっちゃ作ってもうた」ってなって。まだあるんですけど…2回目からは自分たちでコピーして折って作ってってやって、それは結構ハマってちょうどジンが出始めた頃だったんで、金沢とか東京とか行った時に持って行ってみよかーってやってましたね。

──今も作ってるの?

T:   今は作ってないです。

──じゃぁそれが2人で作り始めた最初なんですね。それは舞ちゃんが作ってるあの小さい本とも違うの?

N:   はい、もっとコラージュっぽいやつです。

ー私見たことあるかなぁ…caloで展示したときはそのジンがメインで。

T:   その時はジンもあったけど……あったっけ?

N:   うん、あって、そのページに使ったものを飾ったり、お互いで作ったものもあったな。

──ジンはどうして作らなくなったの?

T:   その頃から自分でやってるアクセサリーも平行してやっていくようになって、なんとなく作らなくなったけどまたやりたいなぁ。

N:   うん、次は本作ろっか。

──じゃあ今までもなかったようにこれからもネオタオさんはこうしていきたいというのは…

T:   うぅーん……………………………………………………………………………ないですねぇ。

N:   なかった。(笑)


(タイヤマミシン/ミミヤマミシン 2016  写真: TAO)


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〔4〕「TAOバランス」に続きます。

NEOTAO〔2〕「はじまったら説明なし」

──そんなにも出会った感なかったんですね。

T:   そうなんです。でもお互いに歩み寄らないと友達にならなかった経緯とかはあって。(当時の)私のバイト先で一緒に働いてる子の友達がしんちゃんで、お客さんで普通に来てくれててその時は多分「こんにちわ」とか言うくらいやったんですけど、しばらく後に飲み屋で大勢いる時にしんちゃんもいて。

N:   わかった!かっぱ横丁のとこや!

T:   覚えてる?で、そのときしんちゃんが自分の書いた本持ってて見せてもらったんです。私はずっとファッションの専門学校行ってて美術やってる人とかは周りにいなくて、(美術の)そういう感覚的な感じってすごい興味あったんですけどその本を見て、あ!なんかこの子!みたいなんはありました。言葉にできないことを絵にしてあるのを見て私の中の心の中と、なんか、なんていうか…ずっとそういう話する人がいなかったので本読んだり音楽聴いたりして自分の中で消化してたんですけど、それが実際にこういう風に表現してる子がいるんやーと思って新鮮だったのは覚えてます。周りはほんとにファッションの子ばっかりでパターン引いて縫って…みたいな感じの子ばっかりやったから。

──全く新しいタイプの人に会ったというよりかは、桃ちゃんの中にある感覚の何かに触った感じやったんかな。

T:   そうですね、人に言ったら「はぁ?」って言われそうなことも言えそうな気がしたんですよ。

──ふーん…どんな感じなんかなぁ…

N:   「何それー?」「何なんそれー?」だけで終われへん感じやんな。

T:   そうそうそう!「いいやん、いいやん!」って言ってくれそうって思った。

──…………えーと、その、なにかな。(笑)

N:   もっと抽象的なことやねんな。

──今までやったら「この服かっこいい!」とか「この人かっこいい!」で「私も好きー」っていうようなやりとりをする人がほとんどだったけどしんちゃんはそうではないところで…っていうようなことかな…

T:   手紙のやりとりとか書いた絵とか文章もそうなんですけど、パッてだされて「何これ?」じゃなくて「わ!めっちゃいいやん!」で終われるっていうか。私はですけど。そういうことなんかなー。

N:   (書いたものを見て)自分なりにそれを解釈して、こういうこと感じてるんやなとか、これってこういうことやろってなって「いいやん!」ってなるんやんな。多分2人ともいっつも抽象的なこと考えてるから…「これどういうこと?」とか「何でこれ作ったんですか?」とか他の人は聞くけど。

──2人の間ではそういう説明はしなくていいと。

T:   なんか喋りながら思ったんですけど、例えばこの人はこういう経歴でこういう作品をつくってきて今こういう所にいます、みたいなんももちろんいいんですけど、そういうこと知らずに絵だけ見て「いいやん!」おわり。みたいなんがあって…

──同じ星の人。

N:   あ、同じ星の感じもせぇへんわ。なー。

──そうなんやねぇ。舞ちゃんは桃ちゃんとのやりとりで受け取った時、どんなアタマの中になるんですか?

N:   写真とか文章とか桃ちゃんのめっちゃ良くて、景色が浮かぶっていうか…手紙とかはまだ作品として作ってないけど、もう、ちょっと、作品みたいになってる。

──それは桃ちゃんと舞ちゃんのやりとりしてる手紙のこと?

N:   そうです。今日あったこととかの手紙じゃないけど、断片的にそういう言葉があって。詩っていうか…。便箋に普通に上から順に書いてるんじゃなくて、なんか、1枚にかわいくなってることが多くてそれ見て安心感みたいなのはあったんやと思う、今考えると。

T:   安心感あったんや。ふぅん。

N:   そういう説明いらんとか、「何コレ?」みたいなこと言われないっていうような。

──舞ちゃんは美術の大学行ってたでしょう。周りの人はそうではなかった?

N:   そうですねぇ、ヘンな人は多かったけど、そんな感覚だけでしゃべれる人ばっかりでもなかったです。それを否定するわけじゃないけど…そんなにでした。

──じゃあ桃ちゃんと舞ちゃんはそれぞれ自分の持ってる感覚でお互いに似てるところがあるってことかな…

T:   感覚が占めてる割合は多いっていうか、感覚だけっていうか、だから…(笑)

N:   そうかも!そうやそうや!

──似てるっていうよりかお互いが自分の感覚だけでやりとりできるような…

N:   だから(ネオタオの)イメージソースも一緒に探すっていうよりかは、「これ見て!」「いいな!」「うん!」みたいな。

──話早いね。ミミヤマでの展示搬入の時も2人の会話が棚越しに聞こえてたけど、「なんでキリンの首って長いんやろな」とかゆってたよ。「宇宙人ているよな」とか(笑)

T:   そうそう。しんちゃんの突然の問いかけがあるんです。

N:   でも結構違う話してることが多いかも!

──搬入中も今やってることに関する会話はほとんどなかったような。でもそうやっていろいろやりとりしながら作ってるんやろなーと思って聞いてました。

T:   作ってきた作品に対してしゃべるとかはあんまりないですねー。

──そっか、でも(2人の)感覚が似てるわけではないっていうのは発見でした。どうしてこれが良いと思うかの説明はできなくても別にいいというか…

T/N:   うんうん。



(写真: TAO)

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〔3〕「タイとZINE」に続きます。

NEOTAO〔1〕「はじまりはぼんやり」

NEO
原口 舞 / はらぐち まい/しんちゃん / 舞ちゃん

大阪出身。個人ではドローイングなどを描いている。
http://maikitsune.tumblr.com


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TAO
織田 桃子 / おだ ももこ /ももちゃん

ひいお祖父さんは貝殻で絵を描く人、
祖父も絵を描くのが好きでした
私は勉強や運動はトンとできない子でしたが、 " 図工 "が大好きでした
(好きなだけで特別上手ではなかった)
子供の頃にNHKで流れていた、
大貫妙子さんの歌「メトロポリタン美術館」と不思議な映像、
あれから妙なスイッチを入れられた気がしています

2008年〜jewelryを製作してます
TAO XIANG UOO
taoxianguoo.com

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NEOTAO(以下ネオタオと表記)がミミヤマミシンで初めて展示をしてくださったのは2012年10月の「hahaー母がくれたデザインソース 昼下がりのTeaRoom」というタイトルの展覧会でした。その前からcaloの石川さん(*1)やponcotanの堤さん(*2)からネオタオの噂は聞いていて、おもしろいんだろうなぁと思っていました。その後ミミヤマでの展示をキッカケに ネオタオの2人とも一緒に遊んだりなにかと関わったりしてきましたが、ここで一度じっくりとネオタオ観察をしてみたくなりイソタビューをお願いしました。

text_Tomoko Soda


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〔 1 〕 はじまりはぼんやり

──私の中でネオタオは流行とかブームではなくて、それらも含んだ"文明"のような感じなのかなと思っていて、メソポタミア文明でもいいですが今の自分には直接の影響は感じられないけど、それは確実に存在してて、関わる関わらないは関係なくあるというか…メソポタミア文明はチグリス川とユーフラテス川流域発生した世界最古の文明ですが、ネオタオはどうやって発生したんでしょうか?

N(舞ちゃん・しんちゃん):   特にかがけてるものとかコンセプトとかはないよね…だから展示が決まったら何をするか考えるとか、石川さんは提案もしてくださってタイに関する展覧会になったんですけど。だからその場その場で決めていく感じです。メソポタミア文明も何してたか知らんけど、そこにあるもんとかを採ったりして食べてたんじゃないですか?

T(桃ちゃん):   いつも展示させてもらう時にネオタオの紹介文とかどうしたらいいですか?って聞かれるんですが私達もわからなくて…こういうのやっていきたい!とかがいい意味でなくて。

──2人ともそれぞれ1人の活動もされてますが、それとネオタオの違いとかはありますか?

T:   息抜きっていうか。自分でやっているTAO XIANG UOO(タオシャンウー *3)は結構アタマつかうんです。でもネオタオでは絵描いたり本作ったりもするし人ももう1人加わるので。よく誰かとやってて方向性とか意見の食い違いとかでやめちゃったりするグループとかもあると思うんですけど、そこはホンマにお互い好きなことやって(展示のとき)当日持ってきて「よっしゃ、やろかー」みたいな。

──使うアタマが違う感じですか?

T:   私はそうですね。タオシャンウー(以下タオ…と表記)の時は何から何まで全部自分1人でやりたいというのが強すぎるんです。もともとファッションとかデザインに興味があってやっていく中で私はすごく頑固で、こうあるべきとかこれはやりたくないとかが強くある方なんですが、ネオタオでは不思議とそこがスコーンと抜けれていい適当さでできる。それはしんちゃんとだからだと思います。他の人とだと多分こうやりたいっていうのがでてくるんちゃうかな。

N:   ネオタオでやる安心感はありますね。しかもお互いに対して「それはないわ!」とかないし(笑)いいやん!いいやん!いいやん!って感じで。

──展示が決まってからは2人で作ったり途中で見せたりするんですか?

T:   しんちゃんの絵と私の写真を交換してそれに何か付け加えるとかはあるんですけど、途中で見せたりはほとんどないですね。

N:   しかも(交換するのも)郵送とかやしな(笑)

──緒にやろうとなったキッカケはあったんですか?

T/N:   …………………。

N:   最初私が展示やってて、桃ちゃんはまだ個人での活動はしてなかったんですけど、どうしても手作り本作って渡したい人がいてそれを一緒に作り始めたのが最初かな…。それで(caloの)石川さんが展示したらってゆってくれはったんやったかな。



-------ここで私の携帯に電話。イソタビューさせてもらっているにも関わらず電話で話す私。ごめんなさい!その間も2人は最初のキッカケについて思い出し中。-------



T:   しんちゃんがカロで個展してた時(*掛舞のらくがき展/2008年@calo)、ネオタオってゆうのやってるんやったら展示したらってゆうてくれはったんやった?

N:   その時はまだ(ネオタオ)やってないで。で、やることになってネオタオって決めたんちゃうかった?石川さんに聞いてみよかな…

T:   なんか瀬戸内に旅行したやん。あの時ってどんなんやった?

N:   あん時はただの友達やった。

T:   あー、そか。なんかめっちゃ手紙のやりとりしてたやん。あれの延長線上って感じやったんかな。石川さんにプランができたら持ってきてっていわれたんやったっけ。どうやったっけー???



-------ここで電話終わり。ほんとすみませんでした。-------



N:   ちょっと曖昧なんですけどcaloで展示させてもらうことになってかつどうが始まった感じです。

T:   ずっと2人で写真とか絵の交換したり、この本が好きやねんとか音楽とか、そういうやりとりをしてたんです。

──それはネオタオする前ですか?

T:   そうです。

N:   caloで最初にやった時も、これからネオタオでやっていこう!とか結成したで!みたいなんもなかったよな。なんか相手の考えてる事にめっちゃ興味あるってゆうよりか、一緒に何かやるとかも思ってなかったから、面白い友達と思ってたんかな。

T:   そうなんかなぁ…(笑)



*1 caloの石川さん…calo Bookshop & Cafe:大阪・肥後橋にあるビジュアル書専門店。カフェとギャラリーも併設。1人で切り盛りされている石川さんのカレーも美味しい!
<ネオタオのcaloでの展覧会>
2009年/ <home>morie
2010年/「Thaiの惑星 イープンちゃん」
2013年/「come back!! イープンちゃん」「パヤタイ」
www.calobookshop.com

*2 ponkotanの堤さん…poncotan[ぽんこたん]:雪深い新潟県南魚沼にある、小さな出版社エディション・ノルトのアネックス施設。2016年末まではギャラリーとして多様な企画を開催。オープニング展示は、NEOTAOの「あいあくお」展。壁一面に古いマッチ箱とドローイングを貼り巡らし、おみくじを引くように、そのマッチ箱に入った作品を購入することができた。おみくじというモチーフは、同店が神社の参道沿いに建つことに由来する。
また、2017年初夏からは、滞在型の手作りジン制作ラボラトリーとして始動予定。大型レーザープリンタを始め、各種製本設備が整っている。(*この文章を書いてくれたのは堤さん)
http://poncotan.org

*3 タオシャンウー:2008年よりスタートした織田桃子によるジュエリーのブランド。
taoxianguoo.com



(写真: NEO)

(「NEOTAOによるあいあくお/poncotan 2014)


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NEOTAO〔5〕「NEO不思議」

──両極端にバランスをとって実感している桃ちゃん。舞ちゃんはそういうのはありますか?

N:   そういうのやったらあるって思った!今。

T:   ほんま?ふぅん。

N:   力入ってるとこがあるわ!不思議なことを追求したいってところに力が入ってる。私。

T:   そういう力の入れ方…(笑)

N:   そういう考え方かな。

──舞ちゃんの不思議なことって何?

N:   えーと、難民が多いってこととか問題になってて(その問題がなくならないこと)そういうことも不思議っていうか、不思議と思うことじゃないのかもしれないけど、結局1つ1つ考えて自分が不思議に思っていることを解決できたらその謎も解けるかな、と思ってる。

──それはどうしてこうなるんだろう?っていう不思議?

N:   何かが起こっていることに対する不思議っていうよりかは…なんていうんやろ、何でこんなことが起こるんだって思ってるんじゃなくて、なんかいろんなことに余白みたいなのが自分の中にないとそれにアプローチもできないなと思ってる。そのひとつがネオタオかな。まとめたけど(笑)。

T:   その不思議は現実に起こったことの話?理解できないこととか?何でこんな人がおるんやろ、とか。明るい話も含めて。

N:   それが人に説明できるようなこともあれば、桃ちゃんにやったら言えるかもしれんけど、非現実的なことも含めてあらゆる不思議のことについて肩に力が入ってると思うわ。なんか急に勉強せな!とか思ったり。

T:   勉強せなって?何かの?あ、なんか天狗のことめっちゃ調べてたときあったな。

N:   そうそう、あれはリクエストがあったんやったかな。

T:   あぁ…でもこういう話できるんが貴重な存在っていうか。しんちゃんのさっきゆってた余白がどういうことかわからへんけど、余白とか余裕とか共感とかできる時間がないと、現実の世界に対応するだけになっちゃうと物足りないというか寂しいというか…

N:   桃ちゃんは何かするってなったらすごい頑張り屋さんやから、力抜くっとか考えなあかんのかもな。

──今回私のネオタオを知りたい!という気持ちから(ネオタオは)どうやって始まり、どこへ行くのかを聞こうと思っていたんですが、そういうのが無い、というか無いからできるっていうことを際立たせましたね…

T/N:   そうですね…

──コンセプトに惹かれてとかできた経緯が好きでとかで興味を持つこともあるけど、ネオタオの場合そうではなくて…

T:   そう思ってもらえると気が楽です(笑)

──ネオタオは少なくとも自分たちのためにやっているという部分があるから、観てもらうためとか買ってもらうために作ってない、とは言わないけど、それよりは桃ちゃんやったらタオシャンウーと両立させるために必要なネオタオであったり、舞ちゃんにとっても…ちょっと、ごめん、さっきの話はまだわからないですけど、必要であるところのネオタオがみんなを楽しくさせてくれるのかなーと。なのでどうしていくかが決まっていなくて当然かなと思います…けど。いいでしょうか、こんなんで。何か訂正あれば言ってください(笑)。

T:   でもネオタオについていろいろ聞いてくださったけど、そうじゃない個人的なところでしんちゃんのこんなんが好きで、とかこの色が好きやねんとかっていう会話だけの方が面白い気がする。

──えぇっ!えーと、それは…

T:   ネオタオを説明するときに、この先どうやっていくかとかよりは、なんか…

N:   海の中の動物やったらどれが好き?とか?

T:   とかー。そういうことばっかり喋ってるから、そういうの聞いてもらったほうが面白かったかも。私達も謎な感じでやってて、コンセプトもいい意味でないんで…今も喋りながらなんでやろって思ってて、そこが全くカタチが見えない話になってしまって…

──それがよく見えて良かったですよ。

T:   でも、コレ文章にするのめっちゃ大変でしょ(笑)

──それでいいと思います。書きやすいように聞かなかったし。(ネオタオにとっては面白くなかったかもですが)いいでしょうか?”わからない”はイソタビューのテーマですし。  では最後に一言お願いします!もう、なんでもいいです(笑)

N:   2人とも小さいものが好きなんで、なんかおっきいものも作ってみたいなって今思いました!

T:   おー。

──んー。ではタオさん。

T:   私はどっちかというとプロデュースが得意で、プラス、しんちゃんの打算的でないものの作り方を尊敬してるし好きなのでそれをやってみたいです。っていっても、しんちゃんに言ったことなかったから嫌やったらいいねんけど(笑)見せ方考えるのが好きなので。ネオタオでは、そうやなー、大きいのいいかもね。全部大きいもの。

──全部大きいもの(笑)

N:   全部大きいティーカップとか!

T:   そやな。マイペースでやっていきます。

──なんかちょっと今ネオタオへの質問の仕方がわかりました。

T/N:   えっ。

──さっきみたいに大きいもの作ると聞くとすぐに私はどれくらい大きいもの?って聞きたくなるんですけど、それは野暮で、そういうことではなくて、ネオタオが大きいものっていったら、それはもう…大きいものっていうことですね!(笑)それでいつか「あぁ、これがネオタオの言ってた大きいものか…」っていうのでいいんかなーってことで。あくまでネオタオに関してだけですけど。ではいつかネオタオの作る大きいものを見れるの楽しみにしています!ありがとうございました。

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(NEOTAO  イソタビュー  了)

(写真: NEO)

2016-09-11

船川 翔司さん〔4〕「自作自演観光地」

──今はどんなことをやってるんですか?

船川:  最近始まったわけじゃないんですが、よくわからない観光地をつくりたいなっていうのがあって…

──んふふふふふ

船川: 一番最初にやった失敗作があるんですが、都島に赤川仮橋(あかがわかりばし)って100年くらい前に作られた木製の橋があるんです。線路の横をチャリンコで通れるようになってて、いい橋やなと思って夜中とかよく行き来してたんですが、閉鎖されるっていうんでその橋の下でお葬式してみんなに来て欲しいなと思って「場所」というタイトルでイベントをしました。橋の下にはいろんな人達がいてカラーギャングの若い男の子とか…

──カラーギャングって?

船川:  なんかバンダナ巻いてエアーガンとか持ってて、そこを基地にしてるみたいでした。あと、畑やってるおじさんとか。面白かったのが、橋の下に防犯カメラがあったんですよ。木に引っかかっててもちろん電気通ってないからただかけてあるだけなんですけど。で、そこに道が作ってあって入っていくと、木とか藁で谷が作られててそこに板の棚があって川に漂流してきたようなものが陳列されてるんです。で、奥からおじさんが出てきて「ワシが伊丹空港作ったんや」って言って(笑)置いてあるものの説明してくれて、すごい面白かった。で、その場所を全部紹介したいなと思ってまぁやったんですけど。
一番最近では天下茶屋の廃工場でやったんですが、そこは最近知り合った詩人の男の子のお祖父さんのおかき工場でいい場所だったんでここで何かしたいなと思いました。展覧会って形したんですが、最初にその工場とか天下茶屋の歴史とかを調べてたんですがそれを踏まえて何か作るというのが、気持ち的にゲンナリしてきて…。で、詩人の彼とあと3人作家を誘って、時間をかけていろいろ喋りながら(直接その場所には関係ない話題も含めて)その場でできた物を作品として置いてみる、ということをしました。場所とか今までの歴史とは無関係だけどその場所に馴染んであるものが見える方法があったら楽しいなと思ってて、いろいろ企画して伝えるんですけど難しいです。

──船川さんの興味としてはそういった場所(橋の下とか廃工場)と、そこに居て在るというようなこと、何か関係を持つとか作るというようなことがあるのかな。

船川:  そうですね。橋の下でやったのは、ほんとに何もないただの日常の光景に僕が点を打って人を案内して連れてきただけです。「日曜日のお休みみたいやったわ」って言ってくれた人がいて、いい意味でも悪い意味でもあると思うんですが作品なのかなんなのかってことも含めて、僕には気持ちいい感想で嬉しかったです。

──船川さんがそれでしたことは、その案内だけってことよね?

船川:  そうです。自分の橋に対する思いの丈と地図を載せたチラシ作って配ったりSNSも使ってした案内が僕のしたことです。

──全く知らない人も来ましたか?

船川:  来ましたね。全部で15人くらいかな。アクセスの悪い所だったのに来てくれてびっくりしました。

──みんなどんな気持ちで来たんやろねぇ。船川さんのこともその橋のことも知ってたり知らなかったりでしょ?

船川:  ねぇ。でもみんな山奥に来たような気がしてきたのか魚採ったり、うろうろ探索しだしたりして楽しそうでした。

──河べりとかってそういう作用があるかもね。では最後に…。今までお話を伺ってきたなかで、船川さんの通ってきた場所とか環境とか生活とか人とかが今の生活や制作に繋がっているのは間違いないと思うんですが、そういった一連の流れとは一見全く関係ないのになーんでこれが気になるんやろ、っていうものがあれば聞かせてください。

船川:  あーまたすごいこと聞くなぁ…難しいなぁ。いや、あるんですけど、どれがいいかなぁ。

──あ、結構あるんですね。

船川:  パッと浮かんだすごく言いたい話はあるんですけど、それ文章にならないと思って…(ずーっと沈黙で考え中。ビールをすする音だけが聞こえる…)

──あのー、少なくとも今日聞かせてもらった話のこと、石・河・インドで相撲…みたいな流れからしての全く関係の無さでいいんですよ。この流れできてこういう人なのかと思いきやアラっ!ってくらいでいいのよ。

船川:   あ!そうですか!だったら最近楽しかった話が!今、僕大工さんみたいな仕事してて一緒にしている職人さんですごいクセのあるいいおじいさんがいるんです。なんかする時とか段取りつけようとする時に必ず「フーフフーフフー(音程付き鼻歌)」ってゆってから動くんです。で1ヶ月くらい一緒に仕事してたらどのタイミングでゆうのか僕、段々わかってきて、ある日昼ごはん食べ終わっておじいさんが寝転がってる時に、あ、このタイミングで言うなって思って見えない所から先に言うたったんです。「フーフフーフフー」って。そしたらおじいさんちょっとうろたえてパニクって「フ…フッフー」みたいなんになって。こんがらがってはった(笑)ちょっとしたイタズラですけどそれが最近楽しかった話です。

──あははは。船川さんから見てそのおじいさんは体のどこの病気?

船川:  はー、何でしょうかね。間の病気かな。緊張感のある人なので間を自分で保てる距離をちゃんとつかめないと慌てる。それを僕は邪魔をしたんです。

──おじいさん何か言ってはった?

船川:  中途半端になってしまった「フッフー」しか言ってなくて、僕は笑をこらえるのに隠れました。

──アレ?俺言ったっけ?ってなったやろうねー。  間の病気って(笑)。きれいにまとまらず変なところに着地できて良かったです。ありがとうございました!

船川:  あー良かった(笑)ありがとうございました!

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(船川翔司さん  イソタビュー  了)













poehumのウェブサイト:http://poehum.tk/tablet/index.html


2016-08-31

船川 翔司さん〔3〕「間違えてわからない いいおじいちゃん」

──何人かで一つのものを作るとか、自分の作品制作に人の手を借りることはありますか?

船川:  いくつかあります。わかりやすいのだと、絵描きの友人と特に美術には関わっていない友人と僕の3人でやったのがあります。3人の共通点は相撲好きということで、会うといつも相撲の話してるんですが、ある時朝までずっと相撲の話してて、でモーニング行って相撲の話して、5軒モーニングのハシゴしたんです。友人の家が新世界※2にあって昼過ぎてもずっとモーニングやってるんですよ。5軒目の頃には3時くらいになってて。その時に自分がずっとやりたかったこととか、3人でインドとか旅行したいって言ってたこととかが一緒になっていったんです。   僕が以前インドに行った時にクリケットの試合を観たんですけどルールが全くわからなくて。でもまぁ観てたんですがあまりにもわからないので、自分で勝手に作ったことに当てはめて、そういう事をしているって風に観ようと思ったら大喜利みたいですごく楽しかったんです。で、それを逆にしてある程度ポピュラーな相撲を全然よくわからないものにして、その間違った相撲をインドにしに行こうという事になったんです。で、その3人でインドの川辺の街に1ヶ月居て毎日2回相撲をとりつづけるということをしに行きました。

──間違った相撲の"間違った"はどんな風に間違ったんですか?

船川:  3人でどう間違えるかって話はしてたんですけど、あまり何も考えずに行って最初に土俵みたいなものを作ってたら、(地元の人が)「ここは牛の通り道だからこうした方がいい」とか、衣装も仰々しく歌舞伎みたいなのにしようと思ってたんですけど、(地元の人が)「腰の辺りに太陽の飾りを付けるのは失礼だからこうしろ」とか(地元の人が)「こうしろ」とか「こうしないとダメだ」とか「おまえたちの相撲なんだったら」みたいにどんどん口やかましく言ってきてくれるんでどんどん間違えていって…。

──わざわざ考えて間違えなくても勝手に間違えられた。

船川:  そうそう。最終的に3人ともケガしまくってて最後の1週間はほぼ尻相撲だったんですけど、その間に子供の土産物屋が「お土産売りたいねんけど…」って相談してくるから、「じゃぁ合間に売ったら?」みたいになってて。

──観客がいるわけですか?

船川:  そうです。毎日やってたら人が集まってくるようになってて、お土産売りたいとか、牛を連れて来たいとかいろんな人が出てきてそういうのも含めての"相撲"なってて。それもちゃんと広められたなぁって思ったのはあと5日で終わりくらいの時に夜散歩してたら街の青年たちが、相撲の真似してて、牛の通る道とかもじぶんで作ってやってて。「わ!やってはる」って。

──すごい!流行ってるかも!  それはずっと3人でやってたんですか?

船川:  最初は3人でやってたけどやりたいって人が出てくるようになって、「じゃぁ6人でやろっか」みたいなのもありました。

──6人で一気にとるの?

船川:  そうです。でもずっと人の股の下をくぐってる人とか、「この人何してんねんやろな」っていうことがしょっちゅうあるんですけど、なんとなく勝者が決まって祝詞みたいなのもあげてました。

──行く国で全然違う間違った相撲になりそう。

船川:  そうですよね。アフリカとか行きたいです。

──共通のわからなさをある程度共有している3人だと、そうやってどんどん膨らんで行きそうですね。でも例えば(制作を)手伝ってくれる学生とか全く知らない一般の人なんかに船川さんが自分の作品について説明しなくてはならない時なんかは、そういったわからなさをどんな風に伝えるんでしょうか?

船川:  うーん、どうだろ…ちょっとわからないけど、仲良くなるとか…

──「相撲でもとろかー」とか。

船川:   (笑)自分のやる事の場合は相手とある程度の時間が重なってないとやりにくいかなぁ。

──ことばで説明するのではなくて…どうすれば仲良くなれますか?

船川:  なるたけ同じ時間を過ごすとか…仲良くなれたなって思える瞬間がいろいろあると思うんですけど、お互いの恥ずかしいところを見せ合えたとか。でもどうだろう…(よく考えて長い沈黙)
この人はどういう病気持ってるのかなっていうのは見ながら思ってしゃべることは多いです。しぐさとか見て、こんな病気を持ってるんだと思って好きになってその病気をもっと見せてもらえるように働きかけるっていうか。

──病気って身体の病気?心臓が弱いとか。それともその人特有の偏りみたいなもののこと?

船川:  どっちもですね。

──そういうのは何から感じとれるの?しぐさって言ってたけど…

船川:  そんな気がするんです。僕が喘息もちなんでその喘息もち特有の面持ちというか趣きがあるような気がするんで。あと喘息もちの気分とかすごい面白い。同じ喘息もちの人と話してたりするとよくわからないけど通じる感じとか、そういうのがお互い見えると仲良くなれたっていうか、どこに根を張ってるのかわかると相手をちゃんと見れるようになって、引き出せるようになって…っていうのはあると思います。でもちゃんと伝えないといけない時とかどうだろう…

──そんな風にじっくり時間をかけることができない場合は、ある程度は言葉も必要だと思うんですが、船川さんならどんな言葉を使うんでしょう。当然そこで「あなた身体のどこ悪いんですか?」だと全く違うしねぇ…

船川:  (笑)(一緒に制作してもらう場合は)「あんまりキレイなものとか想像しないでください」とか「カタチになっているものとか想像しないでください」っていうようなことは言ったことがあるかもしれないです。さっきも話したように象徴付けるのが苦手でそういう向きにはいきたくないので、決まったカタチがあるようなものにはならないと前もって言って、スタートしていく時に何か面白い瞬間があれば教えてくださいとか、自分が相手に仕掛けたことに対してレスポンスがあればあぁこの人はこんな反応するんだなって思うとそこから組み立てていけるというような感じですかね。

──やっぱり、いいおじいちゃんだなぁ。

船川:  やっぱ、じいちゃんですか(笑)

──人と一緒に作るのは好きですか?

船川:  そうですね。最近まで好きだったんですけど、今はまた1人の方がいいなと思ってきてそっちが多くなってきてます。




2:  新世界は大阪市浪速区恵美須町に位置する繁華街。中央やや北寄りに通天閣が建ち南東部にジャンジャン横丁がある。

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〔4〕「自作自演観光地」に続きます。


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